弁護士・税理士 岩本尚光|賃貸オーナー・大家さんの法務と税務を一つの窓口で
賃貸不動産の相続の基礎
賃貸物件の相続は、評価と特例で相続税が変わるだけでなく、誰が引き継ぐか、家賃と借入をどうするか、入居者や管理会社にどう知らせるかという法務の問題が重なります。弁護士と税理士を兼ねる立場から、相続が起きた直後に必要なことと、起きる前に整えておきたいことを整理しました。
Worriesこんな疑問に答えます
相続税はどのくらいになるのか
賃貸物件は貸家建付地・貸家として評価が下がり、小規模宅地等の特例でさらに減額されることがあります。空室や貸付期間で変わるため、試算が出発点です。
兄弟で共有にしてよいのか
共有にすると、修繕・建替え・売却のたびに全員の同意が要り、次の相続でさらに細分化します。遺言や分割で単独所有にすることが一般的です。
家賃は誰が受け取るのか
遺産分割がまとまるまでの家賃は、相続人が法定相続分で取得すると最高裁が判断しています。分割後に遡って変わらないため、口座の管理を早めに決めます。
相続が起きたらまず何をするのか
入居者・保証会社・管理会社への通知、金融機関への連絡、準確定申告と青色申告の届出、相続登記と、期限のあるものが続きます。
Basics評価と特例の考え方
貸家建付地と借家権割合
賃貸している土地は貸家建付地として、自用地評価から借地権割合×借家権割合30%×賃貸割合の分が減額されます。建物も固定資産税評価額から30%分が下がります。
小規模宅地等の特例
貸付事業用宅地等は200㎡まで50%減額が目安です。相続開始前3年以内に始めた貸付けは原則対象外で、申告期限までの継続などの要件があります。
遺言で共有を避ける
物件ごとに取得者を定めた遺言があれば、共有を避け、分割協議の長期化も防げます。他の相続人の遺留分との兼ね合いは、生命保険や預貯金で調整することが一般的です。
遺産分割までの家賃と経費
分割までの家賃は相続人が法定相続分で取得し、各自が不動産所得として申告します。固定資産税や修繕費の負担も同じ割合で整理しておきます。

Rules相続直後に期限のある手続き
- 通知と口座の整理|すぐに
入居者には家賃の振込先の変更を、保証会社と管理会社には契約者の変更を知らせます。賃貸借契約はそのまま相続人に引き継がれ、入居者の同意は要りません。
- 金融機関への連絡|すぐに
アパートローンは法定相続分で承継するのが原則です。物件を取得する人が引き受けるには承諾が要り、団体信用生命保険の有無も確認します。
- 準確定申告|4か月以内
1月1日から相続開始日までの不動産所得を、相続人が連署して申告します。減価償却費や固定資産税は日割りや納税通知の時期で区分します。
- 青色申告の届出|原則4か月以内
相続人が青色申告を続けるには承認申請が要ります。期限は相続開始の時期で変わり、年末近くは翌年2月15日などになります。
- 相続税の申告|10か月以内
小規模宅地等の特例は申告が要件で、分割がまとまらない場合は「3年以内の分割見込書」を添付します。静岡市内でも、分割の遅れで特例の適用が後ろ倒しになる例があります。
- 相続登記|3年以内
2024年4月から義務化され、取得を知った日から3年以内に申請します。分割前なら相続人申告登記で義務を果たす方法があります。
Work弁護士・税理士がすること
- 賃貸物件の評価(貸家建付地・貸家・小規模宅地等の特例)と相続税の試算
- 遺言書の作成、遺産分割協議書の作成と相続人間の調整
- 準確定申告、青色申告承認申請、相続税の申告
- 入居者・保証会社・管理会社への通知文と契約者変更の手続き
- 金融機関との借入の承継の調整、相続登記の司法書士との連携
- 相続後の確定申告と、必要に応じた法人化の検討
Caseよくある事例
父が亡くなり、アパート2棟を兄弟3人でどう分けるか
静岡市内のアパート2棟と自宅を残して父が亡くなり、遺言がないまま兄弟3人で分け方が決まらないとご相談を受けました。まず入居者と管理会社への通知と家賃口座の整理を行い、準確定申告と青色申告承認申請を期限内に提出。評価の試算をもとに、アパートは長男と次男がそれぞれ1棟ずつ単独で取得し、三男は自宅と預貯金で調整する分割案をまとめました。小規模宅地等の特例は貸付事業用として適用し、相続登記は3年の期限内に完了しました。
※よくあるご相談をもとに構成したもので、特定の実際の事件ではありません。
FAQよくある質問
賃貸アパートの土地はどのくらい評価が下がりますか
小規模宅地等の特例は賃貸物件にも使えますか
相続登記はいつまでにしなければいけませんか
亡くなった親の確定申告はどうすればよいですか
アパートローンはどうなりますか
相続が起きたら、期限のある手続きから一緒に整理します
固定資産税の納税通知書、賃貸借契約書、借入の明細をお手元に。評価の目安と、4か月・10か月・3年の期限に向けた段取りをお伝えします。オーナーの初回相談は60分無料です(2回目以降は30分5,500円・税込)。
オーナーの初回相談は60分無料(2回目以降は30分5,500円・税込)。顧問契約を前提にしない相談でも構いません。事務所:静岡市葵区伝馬町9-7 塚本ビル5階A(JR静岡駅から徒歩約5分)。ご相談は予約制で、来所・オンライン(Zoom)・電話のどれでも。夜間・土日の予約もできます。
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